こんにちは、タキです。
好きな場所&自分のペースでWEB制作仕事をしつつ、友達と飲食店経営もしています。
先日とあるベンチャー企業の社長さんと話していて、最近会社のメンバーがどんどん抜けていって困っている、という話を聞きました。
誰に対してもフランクで明るく、日々経営やビジネス系セミナーにも通うなど意識も能力も高い人です。
さらに会社の業績も上々なのですが、とにかく人がどんどん辞めていくのだそうです。
そして、僕は外部のパートナーとして彼らと仕事をし、第三者として関わることが多かったのと、
ちょうどコーチングの勉強をしていた時だったのもあり、そこにいくつかのパターンを見つけていました。
なぜ高い意識を持って入社したメンバーが、辞めるという答えを選んでしまうのか。
逆に、メンバーが生き生きと自発的に動くチームは何が違うのか。
まとめてみました。
目次
人のモチベーションを下げてしまう行動
まず、その会社は10人程度の規模の少数精鋭の組織です。
社長を筆頭に、営業、エンジニア、コンサルタントと、それぞれが得意領域を持ったプロ集団で、各々がフリーランスでもバリバリやれるようなメンバーでした。
そんな精鋭たちの集まりなのですが、そこに対して社長さんはよくこんな言動をします。
1)課題に対して先に答えを示し、担当者に「こうやって」と頼む。
2)外注先からの見積が高いとイライラする。
3)メールの内容をチャットとショートメールでも送ってくる
4)いない人の文句を言う
周りにも結構こんな人いませんか?
僕もたまに遭遇しますが、特に能力の高いプレイングマネージャーな経営者さんに多いです。
そして上記の言動に共通しているのが、
「相手を信じていない」
ということです。
先に挙げた言動のどれもが、『相手を信じていない』ことが要因のひとつになっています。
1)課題に対して先に答えを示し、担当者に「こうやって」と頼む。
これは、社長が出した答えを押しつける形になっていますし、メンバーには決まった仕事を頼むだけになってしまっています。
そのため頼まれる側にとっては、それは単なる「作業」になってしまい、やらされている感が出てしまいます。
本来は、その仕事のことは社長ではなく担当者が一番分かっているはずですから、担当者の力を信じて、答えを探すところから相談する方が良いでしょう。
2)外注先からの見積が高いとイライラする。
については、
よくパートナーからの制作見積もりに対して「なんでこんな高いんだ」と怒っているのを見かけました。
ただ、社長はその仕事について、何となく自分の頭の中にイメージしているボリューム感があったのですが、それよりも工数が多かったことに腹を立てていました。
まるで、ぼったくりにあったかのような捉え方でした。
でも実際は、パートナーさんは社長と長く一緒に仕事をしていて、ぼったくりどころか、少し値引きの工夫もしてくれていました。
これもやはり、パートナーを信じず、自分の頭の中にあるイメージの方を信じて、優先してしまっているのが原因です。
3)メールの内容をチャットとショートメールでも送ってくる
については、
メールだときっと見ていない可能性があるからと、チャットやショートメールでも同じ内容を送っていたそうです。(社長自身そう言っていました笑)
相手は普段から一緒に仕事をしているメンバーなのに、「メールを見ていない」ことを前提に行動してしまっています。
単純に緊急の場合などは電話するか、メールに緊急の旨を記載すれば済む話です。
4)いない人の文句を言う
については、
単純に相手を信頼していないので、本人に文句を言えていな状態です。
もっと言うと、その手前でお互いにディスカッションができていない状態。
本来は問題点や疑問があれば、直接話をして解決するのが理想です。ただ社長は「この人なら話せばわかる」という信頼を持てていないため、
直接話合いをして解決しようとしていない状態です。
以上、主な4つの言動だけを見ても、基本的な原因は、相手をしっかりと信頼できていない、見えていない、ということが見て取れます。
そしてこれによって意識も能力も高いメンバーはどんどん辞めていきました。
もったいないですね。
次は、このようにならないためにはどうしたらいいのか、という対策を説明していきます。
指示ではなく、相談する、というスタンス
この事例を話すと、納得する人がすごく多いのですが、
こないだ、知人のフリーランスの人が
「タスクを振られるとテンション下がるけど、相談されると何とかしてやろう、となる」
と話していました。
つまり、「これをやって」と作業を頼むのはなく、「どうしたらいいかな?」と相談する形で頼むだけで、
頼まれた人にとってその問題は自分ごとになります。
そして自分ごとになることで、人は自発的に動きます。
優秀な人ほどコントロールされたくない
あるチームのマネージャーさんも「みんな自発的に動いてくれない」「俺がいないと何も進まない」
と悩んでいました。
自分だけが頑張っていて、メンバーとの温度差を感じる、というのです。
ただ、これも先の社長の事例と同じで、相手を”コントロール”しようとしているから起きる現象です。
当たり前ですが、能力の高い人ほど、”コントロール”されるのを嫌います。
なぜならコントロールされなくても、彼らはちゃんとどうすべきか自分で分かっているからです。
それなのに、頭ごなしに「こうしなさい」と言われると、うんざりするのは当然です。
つまり、メンバーにやる気がないのではなく、自発的に動きにくい状況ができてしまっているのかもしれません。
そうだとしたら、メンバーとの温度差を作っているのは、逆にマネージャーの方だといえます。
どうしても、という時も、まずは相手を信じて相談から入る
とはいえ、状況によってはどうしても決まった答えのとおりにやらなければいけない時もあるでしょう。
たとえば、あなたが担当している案件で、
お客さんから、どうしても現在の予算内で、もうひと仕事しないといけない要望をもらったとします。
そんなとき、制作チームに「すいません、お客さんからのどうしてもとの要望なので、○○してください」と言うのは厳禁です。
この場合も、無理を言ってでも制作チームにやってもらわないといけない、ということに気持ちが行き過ぎて、
制作チームをまさに”コントロール”しようとしてしまっています。
メンバーは少なからず、嫌な思いをするはずですし、
お客さんの要望で、頼まれたから仕方なくやる、という種類の仕事になるでしょう。
そんなときは、断られるのは不安かもしれませんが、
まずは相手に「すいません、お客さんからの要望で、どうしても○○しないといけない状況です。なにかいい方法はありますか?」
と相談形で話してみるのがオススメです。
相談されると人はそれを自分ごとの問題と認識します。
さらに自分が頼りにされているという認識もあり、自分ごととして解決しないといけない問題になります。
そしてチームで同じ方向を向いて、解決策を話し合っていけば大丈夫です。
どんなに難しい問題が起きたとしても、まずはメンバーを信じて、相談をもちかけるということが重要です。
相手を信じることで、すべてが変わる
すべての人をいきなり信頼できるはずがない、という意見もあるかもしれませんが、
そもそも、信じる信じない、というのは自分の過去の経験からの判断でしかないです。
何か問題が起きたときは、自分が過去に作ってきた脳内の常識を、一度疑うクセをつけておくと良いです。
先日、テレビで心理学の専門家がコメントしていましたが
例えば相手がな行動をしたとき、反射的に怒らずに、
「何か理由があるはずだ」
といったん立ち止まって考えると、相手も自分もストレスになりにくいそうです。
そして、相手を信頼しているかいないかで、同じ行動でも、受け取り方がまったく変わります。
ある飲食店での事例をご紹介します。
ある飲食店マネージャーの事例
ある飲食店のマネージャーが、
料理長に対して、これまで4名以上からしか受け付けていない人気のコース料理を、2名からでも受け付けられるようにしよう、と言いましたが、
料理長は渋い顔をしました。
マネージャーは、2名分ずつ細かい単位で作ることになると手間が増えるので、それで料理長は嫌がっているのだろうと思い、
2名からでも受けられるようにした方が、いかに取りこぼしが減って売上も上がるかを説明しました。
ただ、よくよく話を聞くと、そうではなかったのです。
このコースには、全員分の野菜をひとつのボールに盛って、好きにとって食べてもらう、プチ・野菜ビュッフェが含まれていました。
そのモリモリの野菜が印象的で、女性から人気のコースだったのです。
料理長としては、2名から受け付けることで、プチ・野菜ビュッフェの野菜も2名分のボリュームになってしまうので、
このコースの醍醐味が失われ、評判が落ちると判断していたのです。
つまり、マネージャーは料理長を信頼せず、どうせ手間がかかるのが嫌なんだろうと、先入観を持ってとらえていましたが、
料理長は料理長で、お店の評判やお客さんの満足度のことを真剣に考えていたのです。
今回は料理長からその話が聞けたのでよかったですが、
場合によっては、マネージャーの意見に従い、意見を言えない人もいるかもしれません。
それはとてももったいないことですし、スタッフのやりがいにも関わってきます。
やはり、自分と違う意見が出たときには
相手がどんな立場の人であれ、「何か理由があるはずだ」
と立ち止まることが重要です。
まとめ
いくつかの事例を見てきましたが、
最後に、人のモチベーションがあがり、自発的に動いてくれるためのポイントをまとめると、
・相手をコントロールしようとしない
・指示ではなく、相談する、というスタンスで
・自分と違う意見が出たときには、いったん「何か理由があるはずだ」と立ち止まる
ということです。
そしてその根底にあるのは、
「相手の良いところを見て、相手を信じる」
ということです。
そうすれば、相手だけでなく、自分の世界の見え方も変わってきますし、
人と仕事をするのがより楽しくなってくるはずです。
僕自身も、そうでした。
ぜひ、試してみてください。